2008年8月26日火曜日

健康食品の話⑥

さて、残る問題は健康食品に含まれるコラーゲン・ヒアルロン酸の効果判定ということになります。
さきに書いたようにコラーゲンを摂取してもそのまま便中に排出されます。
ただ、コラーゲンを分解して小さくしたら(人工的に分断するなり、圧力釜で料理してゼラチン質にするなど)、消化液に含まれる蛋白分解酵素がはたらき、消化吸収されると思われます。
ヒアルロン酸も普通に分解吸収されるはずです。

つまりは、小コラーゲンやヒアルロン酸を摂取した場合、その分解産物が体内に入るということになります。
レストランでカレーを注文したら、にんじん・ジャガ芋・たまねぎ・肉と、水にカレー粉、ご飯が運ばれてくるようなものです。

もちろん人体の細胞は、上記の材料からカレーライスを再合成する能力があるのですが、カレー粉は捨ててチャーハンを作ってしまうかもしれないし、他の材料からもってきた牛乳と生クリームを加えてシチューにしてしまう可能性もあります。

まあスーパーでにんじん、ジャガ芋・・・・とひとつずつ買い集めるより、「今夜はカレー」のコーナーに行って、カレー材料セットを買い求めたほうが効率的なように、コラーゲンの分解産物を摂取することでコラーゲンの産生効率が多少上がる可能性がひょっとしたらあるかもしれませんが、少なくとも明確な再現性のある(どこの施設で実験しても同じ結果が出る)話ではないようです。

最後にこれを言っては身もふたもないのですが、本当に効果を証明できるものならば、どこかの製薬メーカーがとっくに医薬品として登録しているはずです。
ただ、ヒアルロン酸はめぐすり、眼科手術時の保護剤、リウマチ治療のための関節腔内注入薬が医薬品としてあります。

しかしいずれも外用、注入用であり飲んで効くものではありません。

2008年8月24日日曜日

健康食品の話⑤

さて今回は健康食品の雄、コラーゲンとヒアルロン酸について考えてみました。
健康食品以外に化粧品の配合成分であったり、あるいは「当店の○○という 料理にはコラーゲンが豊富に含まれていて、美容に大変効果があります」 なんて話もききます。

コラーゲンもヒアルロン酸も巨大分子であることが知られています。
ずう体がでかいのであまりあっちこっち移動しません。また油性ではないので (コラーゲンは蛋白、ヒアルロン酸はムコ多糖類)分子内が分極しています。

分極しているということはプラスとマイナスが一体化せず別々の場所にある (偏在)ということで、しかも巨大分子ですからそこかしこにプラスと マイナスがちりばめられているということになります。
水(H2O)の分子も酸素側はマイナス、水素側はプラスに分極しており、 コラーゲン・ヒアルロン酸側のプラスと水のマイナス、あるいはその逆が ひきつけあい、アイスキャンディに群がる蟻のごとく巨大分子に水分子が まとわりつくことになります(もちろん、周囲に水があるときの話です)。
一言でいうならば「保湿性がある」あるいは「保水性に優れている」という ことになります。

ならはじめからそう言え、というはなしになりますが今回は業界のドル箱で ある、コラーゲンとヒアルロン酸にちょっかいを出すわけですから、なるべく 慎重に進めていきます。
慎重ついでに蛇足ですが、コラーゲンも繊維になってそれがさらに寄り集まり 密集すると「疎水性」を発揮するようですが、少なくとも分子レベルのコラー ゲンは親水性です。

化粧品の配合成分に使われる場合、皮膚の表面において保湿性能を発揮して くれることは十分に期待できると思います。ただずう体がでかいので皮膚の 細胞には入り込めませんから、細胞内で何らかの作用を来たすことは考え づらいと思われます。

では「当店の○○という料理にはコラーゲンが豊富に含まれていて、美容に 大変効果があります」という発言はどうでしょうか。コラーゲンは巨大分子で 食べてもほとんど分解されませんし、吸収もされません。ですから幾ら摂って も効果はないのではないかと考えます。

ただ保水能力に優れた物質が大量に便中にはいりこめば、便が柔らかくなって つうじが良くなる可能性があります。つうじが良くなることが美容にどう影響 するか知りませんが、もしかかわりがあるのなら上記の発言もまったく嘘とは
いえないかもしれません。

2008年8月16日土曜日

健康食品の話④

あまり知名度は高くありませんが、サプリメントの一つでL-カルニチンというのが市販されています。
この物質は筋肉細胞内に脂肪酸のエネルギーを届ける役割をしますので、筋肉の疲労回復といったうたい文句で売られているようです。

またカルニチンは羊肉に多く含まれていまして、2年位前にスーパーのジンギスカン売り場でよく流れていたジンギスカンの歌にも「ジンジンジンジンジンギスカン、ジンジンジンギスカン・・・カルニチンだよジンギスカン」という歌詞が入っていました。

心臓も筋肉からできていますから、心臓を扱う循環器科で注目し研究されました。といっても20年以上前の私より先輩の世代の話で、結局カルニチンは多くの食料にふんだんに含まれていて、普通に食事をしていれば十分であること。心疾患の人にカルニチンを多く摂らせても(もともと不足していないのだから)なんの効果もないことがわかり、はいそれまでとなったようです。

ところが10年ほど前、透析患者さんにはカルニチンが不足しがちであると透析学会で発表があり、そういう方にカルニチンを飲んでもらうと心臓にいい影響があることがわかってきました。
透析療法は一言でいうと物質交換療法ですが、このとき本意ではありませんが体内のカルニチンが排液中に出ていってしまい、慢性的に不足することがあるのです。

まあここまでは純粋に医学的な話です。ところがそれからしばらく後、とある人物のいいつけで、スーパーのレジ脇で夕食の食材の荷物もちとして待機しておりますと、「カルニチン」という文字が目に入りました。
レジ付近によくある、サプリメントの棚のところです。手にとってよく見ましたが、どこにも「透析患者さん専用」とは書いていません。
じゃあ、一般人用ということでしょうか。でも一般の人に無用であることは20年以上前に証明されているはずです。

それからさらに数年後にはジンギスカンの歌にカルニチンが登場したわけです。
確かに
・ 羊肉にはカルニチンが多く含まれている
・ カルニチンは筋肉にエネルギーを与える
・ カルニチンが不足すると心臓に悪い影響が出る
これらはすべて正しいです。でもだからといってカルニチンのサプリメントを買う必要があるのでしょうか。

2008年8月6日水曜日

健康食品の話③

いい加減、話を本題に戻します。
否定的な話が続いたので、今回はたぶん効果のある成分「ポリ フェノール」にします。

もうかなり前になりますが、「フレンチ・パラドックス」という言葉を聞くようになりました。日本語にすると「フランス人の矛盾」ということになるかと思います。
一般に動物性脂肪を多くとると心筋梗塞がおこりやすいことがわかっています。
しかしフランス人はイギリス人やドイツ人と比べ動物性脂肪摂取量が多くアメリカ人と同じくらいなのに、他の欧米人より心筋梗塞などの心疾患で亡くなる割合が少ないことがわかりました。
これは話が矛盾してるんでないかい、ということです。

ただこの報告は特定地域の多人数を相手にした「疫学調査」であり、 もちろん「易学」ではありませんから科学的信憑性はあるのですが、かなり 慎重にやらないと「バイアス」という混乱因子が入り込み「易学調査」 と大して 変わらない結果になることもあります。

「フレンチ・パラドックス」においてもさまざまな「バイアス」の関与がとり ただされたのですが、フランス人はワインを多く飲むので、それが 心筋梗塞を減らすのでは ないだろうか、ということからさらに進んでワインに含まれるポリフェノール に抗酸化作用(註)があることがわかり、ワインとともに注目されるように なりました。

個人的にはワインに含まれるアルコールが健康にいい、という結論になればうれしかったのですが、そう世の中自分の都合のいいようには動きません。
一応公平を期すために不承不承付け加えますと、フランス人はワインの飲みすぎによる肝障害、癌などによる死亡率が他の西欧諸国より高いそうです。・・・残念。

ポリフェノールといいましてもいろいろあるようでして、ぶどうの皮のアントシアニン、しぶーいタンニン、ウコンのクルクミン、そばのルチン、お茶のカテキン、大豆の イソフラボンなど、よく耳にするカタカナが並びます。
カテキンの抗菌作用は医療の現場でも利用しており、実感できるところなのですが、ここで一気に「○○はポリフェノールである。ポリフェノールは体にいい。だから○○は 体にいい」と三段論法ですべてを認めては先のドクター○○と同じ 轍を踏みかね ません。

まあワインのポリフェノールに関しては、地中海料理(ワインとオリーブと太陽の相乗効果?)でも認められており、適量であればそのメリットを信用してもいいとおもいます。

註:抗酸化作用:まあ体にいい作用の一つだと考えておいてください

2008年8月4日月曜日

健康食品の話②

あと、「ぶら下がり健康器」というのもありました。ぶら下がるだけで健康になってやろうという、かなり虫のいい話です。それなら「なまけもの」は超健康体になりそうなものです。
まあ、縮こまった肩関節を伸ばす効果はあるでしょうけれど、ストレッチならそんな大げさな器具を使わなくてもできるし、そこから「健康」に結びつけるのは無理があるような気がします。


それからルームランナー。(どんどん本題からずれているような気が・・・大変ご迷惑をおかけしておりますが、もう少々お待ちください)
まあ、これは本物です。継続して使えば、ですけれど。
当たり前の話ですが買っただけでは効果はありません。乗っかっているだけでも駄目です。要はスニーカーやジャージと同じです。

習慣的な運動が健康にいいというのは疑いのない事実なのですが、実行するのはなかなか難しいものです。
ちょっとまえにビリーズブートキャンプなる軍隊式の運動が流行りました。
確かに継続すれば効果あると思いますが、あれは軍隊だから続けられるのではないでしょうか。新兵がいかつい顔をした鬼軍曹に、後ろから銃を突きつけられながら(そこまでではないかもしれませんが)むりやりやらされるからするのであって、強制力がないとそのうち飽きてしまうのじゃないかと思います。

もちろんまだビリーズを続けているという人もいるでしょうけれど、そういう人は結局、意思が強いわけで何をやっても継続できるような気がします。

じゃあ意思の強くない人(自身を含む)はどうしたらよいのでしょうか。
一般には、テニスなどのゲーム形式のスポーツがよいといわれています。
つまり楽しみながら体を動かすということです。
個人的には山歩きもいいのではないかと思っています。登り始めると頂上に着くまで引き返すのはもったいない気がしますし、自分の体力に応じて休み休み登っても誰からも文句は言われません。

頂上での達成感とお握りのおいしさは格別です。問題点としては自分よりずっと年上の初老の人に、途中何人も抜かされるという屈辱に耐える精神力が必要となることくらいです。

2008年8月1日金曜日

健康食品の話①

テレビのグルメ(この言葉が死語であるかどうかは置いておくとして)番組や料理番組をみると、必ずといっていいほどに「この料理には○○が含まれていますので、健康にいい」とか「この食材には☆☆作用があるのでヘルシーでダイエット効果がある」といったたぐいの注釈がつきます。
さらにグレードアップして「この料理は◇◇が入っていて▽▽なのでローカロリーな上にスタミナ満点です」なんていうすばらしいのも聞いたことがありますが、本当なら証明してもらいたいものです。

かなり前ですが何回か選挙に出た発明家のドクター○○さん(このドクターは医者ということではなくて、ただの愛称か博士号を持っているという意味だと思いますが)という方がいらっしゃいまして「☆☆は糖を含んでいる。糖は脳を働かせる主要な栄養である。だから☆☆を食べると(飲むと)頭が良くなる」といった三段論法を多用されていました。


さすがにこの理論を信じる人は少なかったのか、あるいは他に問題があったのか落選されたようです。
けれど、あの某テレビ局の納豆騒動をもちだすまでもなく健康食品、サプリメント等の効果(の情報)に関しては玉石混交で、およばずながら少し整理してみようという話です。

若い人はなんだそれと言うでしょうし、年配の方はいや、それよりもっと前に○○というものがあったとおっしゃるでしょうけれど、自分的にこの手のはしりとして思い浮かぶのは紅茶きのこです。
紅茶に糖分をいれそれを栄養に細菌を繁殖させたもののようです。こう書くとなんか汚らしい印象ですが、納豆だって大豆に納豆菌を繁殖させたものですから、これだけで一概に悪いとはいえません。


うたわれた効能はにきび解消、血圧低下、利尿効果、肝機能改善等であったようです。
まあ元が紅茶ですから多少の利尿効果はあったかもしれませんが結局、毒にも薬にもならないものであると判明して、誰も飲まなくなりました(・・・と思います。少なくとも私の周りでは現在誰も紅茶きのこを服用して いません)。