生物にとって塩分摂取が必要かどうかはともかく、生体内において塩(特にナトリウム)はいろいろ働いています(浸透圧の維持、神経情報伝達、心臓の収縮など)から、体内に塩の存在は欠かすことができません。
で今を去ること4億年、海から陸上へ動物が進出してきたそうです。
海の生物はまわりが塩だらけですから、好きなだけ取り込んで余った分は排泄すれば済むわけですが、陸上となるとそうはいきません。
塩分の排泄は極力最小限にとどめ、手の届く範囲の塩分を貪欲に取り込まなければならなくなります。
そして塩の排出をけちるために腎臓という臓器が発達し、取れる塩分を取りこぼさないために塩味をおいしいと感じるように進化したというわけです。
それでも、岩塩のない山の中まで進出すると塩分の取り込みは限りなく少なく なりますから、塩分の排泄も限りなく少なくしなければなりません。
そのため腎臓にRAAS系というホルモンシステムが発達しました。
これは、捨てられそうになった塩をもう一回体内に引き戻し、血圧と腎臓(糸球体)の内圧をあげる作用があります。
これで食物以外からの塩がまったく無くても、生きていけるようになったと思われます。
といったように陸上生物は、塩分を節約して大切に扱うように進化し、それを遺伝子にきざんでいます。
人類は500万年前に出現したそうです。
さきのサラリーの語源の話が古代ローマ帝国で紀元前後、電気やイオン交換膜は比較的最近の発明ですので、塩が貴重品ながらも手に入るようになってから約2000年、安価な塩が手に入るようになったのは100年かそこらのことと思われます。
全体のスケールからみて100年や1000年の誤差は大目にみてもらうとして、塩が豊富になり、むしろ塩の毒性(高血圧、腎障害)から体を守るため塩を減らす方向(塩味をまずいと感じたり、尿にたくさん塩を混ぜて排泄する)に進化し、それを遺伝子にきざむには時間がなさ過ぎたのです。
で21世紀の現在、いくらでも塩分摂取が可能な環境にあるにもかかわらず塩味をおいしいと感じ、腎臓は一定量以上の塩分の排出を拒み、かくして体内に塩がたまり、高血圧や腎障害の危険にさらされることになったわけです。
ですからもうすこし時間を稼いで、あと100万世紀くらい経てば塩味を毛嫌いするように進化するかもしれません。
そうなりますとラーメンなんかも味噌・塩・醤油じゃなく酢・辛子・青汁味あたりが定番になるのではないかと思います。
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